事故状況別INDEX:挟まれ・巻き込まれ事故

第1 挟まれ・巻き込まれ事故とは

挟まれ・巻き込まれ事故の一例としては、工事作業中に作業車両に轢かれてしまう、作業機械に手指が巻き込まれてしまう、プレス機に挟まれてしまう、というものが挙げられます。

挟まれ・巻き込まれ事故は、被害者が手指や足指を失ってしまうなど、重篤化・重症化することが少なくありません。

 

第2 会社・元請会社に対する損害賠償請求

重度の後遺障害を負ったり、ときには亡くなってしまったりすることもある挟まれ・巻き込まれ事故では、被害者に対する損害賠償金は、相当高額になることも少なくありません(数千万円超というケースもあります)。

このような挟まれ・巻き込まれ事故が発生した場合には、被害者の雇用先である会社や、元請会社に対し、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求や(民法415条)、不法行為責任に基づく損害賠償請求を行うことができるケースがあります(民法709条以下)。

もっとも、実際には被害者は会社や元請会社に対し、適切な損害賠償請求ができるケースであるにもかかわらず、労災保険給付を受け取るのみで、それ以上の損害賠償請求を行わないままとなってしまい、適切な損害賠償金を受け取ることができていないことも少なくありません。

労災被害に遭われた方は、会社や元請会社に対して損害賠償請求を行うことができるかどうか、また労災給付を受け取っただけで終了していないかどうかを確認していただく必要があります。

 

第3 適切な損害賠償請求のために必要な3つのポイント

1 安全配慮義務違反の有無

挟まれ・巻き込まれ事故の類型として、厚生労働省が公表する「職場のあんぜんサイト」では、以下のような事例が紹介されています。

  1. サスペンションを上げた状態のトラックの下で作業中、車両の電源を入れたため、サスペンションと床面にはさまれかけた
    【対策】車体の下部で点検作業を行う際は空荷で行い、車体をジャッキアップして安全な作業空間を確保する。また安全支柱等を使用し、作業者が挟まれないようにする。複数の労働者で作業を行う際は、確認の合図・安全作業手順を定める。
  2. 製麺機の清掃中、カット箇所に指が挟まれそうになった
    【対策】清掃、調整、かすの除去等の作業時には、製麺機を完全に停止させ、電源スイッチを切った状態で作業を行うこと。また、清掃に係る作業手順書を作成し、作業者に対し安全衛生教育を十分に行うこと。
  3. マンホールの蓋を持ち上げようとしたところ、地面と蓋の間に指をはさみそうになった
    【対策】マンホールの蓋の開閉時には、必ず専用のバール等、マンホールの蓋を開閉するための専用器具を使用すること。また、マンホールの蓋を閉める際は、専用バールで蓋を浮かせ水平に旋回させ、足で押しながら静かにフレーム内(定位置)に戻すこと。
  4. 搬送用コンベアの清掃中、手が巻き込まれそうになった
    【対策】清掃、異物・生地・包装紙等の除去、検査、修理等の作業を行う際は、機械を止め、確実に停止したことを確認してから作業を行うこと。

 

それぞれの事故類型によって、講じるべき対策は異なりますが、これらの対策を講じていれば、未然に飛来・落下事故の発生を防ぐことができたといえます。

仮に、上記事故類型で深刻な労働災害が発生してしまっていた場合、各事故類型別の対策を講じていたかどうかが、会社の安全配慮義務違反の有無につながるといえます。

したがって、業務上の災害が発生した場合には、それぞれの事故原因及び対策を確認し、果たして会社側が十分に安全配慮義務を尽くしたということができるかどうかを検討する必要があります。

 

2 損害額の算定

重度の後遺障害を負ったり、ときには亡くなってしまったりすることもある飛来・落下事故の場合には、被害者の損害額を適切に評価する必要があります。

労働災害における主な損害項目を整理すれば、以下のとおりです。

損害賠償の内容を知りたい

 

3 過失割合

会社に対する安全配慮義務違反が認められ、かつ被害者の損害額を算定することができたとしても、過失割合が問題となるケースがあります。

過失割合とは、労災事故が起きた原因が会社側の安全配慮義務違反だけにあるわけではなく、被害者(労働者)側にも落ち度があると認められる場合に、損害額を一定程度減額するという制度になります。

労働災害における損害賠償請求が問題となるケースでは、会社側から、被害者(労働者)側にも落ち度があったとして、過失割合が争われるケースは少なくありません。

このように、過失割合が争われる場合には、被害者(労働者)側でも、労災事故の状況や、事前の会社側の対策(研修や教育制度、マニュアルや労災事故防止のための機材の手配等)が十分に講じられていたかどうかを主張・立証する必要があります。

 

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