労災による死亡事故への対応

第1 大切な方を亡くされたご遺族ができること

労働災害が発生したために、大切な方を亡くされてしまった場合、言葉では言い尽くせないほどの悲しみのために、何をすべきかわからなくなってしまう方もいらっしゃるかと思います。

本稿では、労働災害で大切な方を亡くされたご遺族が、労働災害にあたってできることを解説します。

本稿が、労働災害被害に遭われた方にとってお役に立つことができれば幸いです。

 

第2 労災保険給付の申請

労働災害に遭ったことによって被災者が亡くなった場合、ご遺族は、労災給付を受け取ることが可能です。

ご家族が受け取ることができる労災給付は、①葬祭料と②遺族補償給付の2種類になります。

 

1 葬祭料(葬祭給付)

葬祭を行った遺族などに対して、葬祭料(業務災害の場合)または葬祭給付(通勤災害の場合)が支給されます。

 

2 遺族(補償)年金

業務または通勤が原因で亡くなった労働者の遺族に対し、遺族補償給付(業務災害の場合)または遺族給付(通勤災害の堀合)が支給されます。

遺族(補償)給付には、遺族(補償)年金と遺族(補償)一時金の2種類があります。

 

第3 会社に対する損害賠償請求

被災者またはその遺族が労災保険給付を受けたとしても、労働災害による損害がすべて補償されたわけではありません。

被災者またはその遺族は、労働災害に対する安全配慮義務を怠った会社に対し、労災保険給付で賄われない損害を補填するために、その差額分を損害賠償請求することが可能です。

被災者またはその遺族が会社に対し損害賠償請求する方法としては、主に、①示談交渉、②調停(ADR)、③訴訟、の3つが考えられます。

いずれの解決方法が適切かは、個別の事情によって異なるため、慎重に解決方法を選択する必要があります。

 

①示談交渉

示談交渉は、当事者間で係争案件について直接交渉を行う裁判外手続になります。

裁判外手続ですから、簡易迅速に紛争を解決することが期待できます。

一方、当事者間での交渉であり、第三者が仲介したり判断を示したりするわけではないため、示談内容の妥当性には疑問が残る可能性もあります。また、当事者間での合意が必要になるため、相手方が応じなければ解決はできないことになります。

 

②調停(ADR)

ADRや調停は、示談交渉と訴訟の中間に位置する手続といえます。

第三者による仲介があることから、示談交渉よりも当事者双方の納得を得やすいほか、訴訟よりも経済的・時間的負担が少なく済みやすいというメリットがあります。

一方、ADRや調停は,お互いの合意がなければ解決しないため,終局的 な紛争解決ができなかったり,手続によっては相当程度の費用負担や時間的負担が発生したりするというデメリットがあります。

 

③訴訟

訴訟とは、当事者間の紛争に関し、裁判所による判断を求める裁判手続をいいます。

訴訟のメリットは、当事者間の合意がなくとも裁判所の判断によって終局的な解決を図ることができることにあります。

もっとも、訴訟では厳密な主張・立証が求められるため、時間的・経済的負担が他の手続よりも大きくなる傾向にあるほか、和解が成立しなければ柔軟な解決を図ることが難しいというデメリットがあります。

 

第4 損害賠償請求の内容

労災事故による死亡の場合、被災者の遺族は、以下の内容の損害賠償を請求することが可能です。

各損害項目の内容によって、それぞれ算定方法が異なりますのでご留意ください。

労災事故による死亡

 

 

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